千年姫の幻想界
衣装は、着物と少し形の違う、薄い透けた布を何枚か重ねたものだ。
裾がひらりと軽くなっていて、大きく動く集団の舞でも支障はない。
選んでいるのは色の組み合わせ。
原色の鮮やかな布や、白や黒を混ぜた淡い色や落ち着いた色の布。
何十枚とある中から、最終的に華が選んだのは黒、紫、藍で帯は金色。
一番上に着る藍の布には、金糸で家の紋と細かな花の刺繍が施されてある。
希望通り地味だが、星祭りにぴったりな、夜空のような組み合わせ。
衣装に合わせて、装飾品も、黒ベースにラメで星を散りばめたようなバレッタと、細かい金細工のチョーカーにした。
チョーカーの真ん中には窪みがあり、姫になったときに“姫の証”である特別な硝子玉を嵌めるようになっている。
華は大きな鏡の前に立って、くるりと一回転して見せた。
「ふふふ、似合っているわ華。楽しみね」
「もう御母様ったら、まるで七五三に行くみたいです」
「あら、別にそれくらい気楽に行ったら良いのよ。
姫に選ばれるのは、とてもとても素晴らしい事だけれど、選ばれなくても御祭りを楽しんで来れば良いわ」
母は過去三百年間、姫になった事があった。
強風の日の火事で町の三割が焼けてしまい、復興に苦労したのをよく覚えている。
──儀式はもう、一週間半後に迫っていた。
それを証明するかのように、流星群が到来していた。