こんなお葬式【長篇】
自分自身、葬儀そのものに関わった経験すら少なく、ましてや始めから終りまで関わるような近い身内の式ともなると、数える程しかなかった。

いや、僕だけではないだろう。

ある程度の年配者であれば、身内の不幸を何度となく経験しているだろうが、やはり若輩の者は経験が少ないはずだ。

もちろん深い身内の葬儀など、悲しみや思い出のウェイトの方が大きく、式そのものに重要視する事などなかったので、「お葬式」そのものの知識などは皆無だった。

仕事場としてその環境に身を置く事になった時、そこにあるイメージは、『人の死』しかなかった……。

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