こんなお葬式【長篇】
葬儀社と言っても、大手の系列運営をしている所から、街の個人葬儀社まで様々で、当然式進行や宗派それぞれのならわし等は一貫性はあるものの、仕事の段取りや営業方法等は違うようだ。

僕の努める葬儀社は、御遺体の搬送から納棺、式場の段取り、式の進行まで、全て担当になった社員がペアで最後まで遂行する事になっていた。

週に一度当直があり、搬送依頼の電話がかかってくるのを待ちながら夜を過ごす。

大抵の搬送依頼は病院からの電話だ。

搬送契約を結んだ病院の担当者か、病院から紹介を受けた遺族からの依頼の電話だが、何れも病院へのお迎えが主になる。

世の中で一番、人が『死ぬ』場所は病院なのだ。




そしてある日、明け方になった一本の搬送依頼の電話……。

いつもの当直の、いつもの電話のコールが響く。

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