こんなお葬式【長篇】
以前は、葬儀の世界はある意味未知のものであり、葬儀社のいいなりにならざるをえない部分が多々あったという。

私達が物を購入したり、何かを行う為に支払われる対価の高低は、自分自身の基準に基づいて判断する。

しかし、葬祭に関してはその基準事態がない……若しくは少なかった。

さらに、身内の死に対して支払う金額を、細かくどうこう言う事への気持ちの問題とが重なり、言われ値が買い値のようになるのだ。

たしかに、葬儀費用の金額を聞いても、それが高いのか安いのかすらわからない。

ましてや、じっくり吟味する時間すらない。

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