リナリアの王女
 「そういえば、サラちゃんの好きな人に会っちゃった」


今日も今日とてバラ園でのんびりと茶会をしている時に私は思い出して言った。


『グレン様にですか!?』


サラちゃんは急に私が好きな人の事を持ち出して驚いたのか、大きな声を出してしまい、慌てて周りを見回した。
「私達以外いないから大丈夫だよ」
私はそんなサラちゃんの可愛い反応に笑みを堪える事が出来ず、少し笑いながら言った。
『エリーゼ様、笑わないで下さい・・・』
サラちゃんは顔を真っ赤にしながら私に言ってきたが、その反応もまた可愛らしく、笑いを止める事は無理そうだ。
「ごめんね?サラちゃんがあんまりにも可愛らしくって」
『からかわないで下さい』
「からかってなんかないわ。それより、サラちゃんはグレンさんの事を様付けで呼ぶのね?」

クラウドが様付けで呼ばれるのは理解出来るが、グレンさんまで様付けなのはなぜだろう?
『グレン様はクラウド様付きの使用人ですが、その他様々な事を取り仕切っているのです。ですから、クラウド様とエリーゼ様に次いで偉い立場の方なんです』


なるほど。実は偉い立場の人だったのか・・・。
ならば尚更呼び捨てで呼ばなくて良かった。


「そうだったのね。それにしても、クラウドとグレンさんは仲が良いのね」
『お二人はクラウド様がご幼少の時から一緒だそうですから、クラウド様もグレン様の事を一番信頼されておられるのだと思いますよ』
「そうそう、今度グレンさんにクラウドが小さかった頃の話しを聞かせてもらう事になってるの」
『クラウド様のご幼少の時の事ですか?』
「そう。クラウドは私が小さい頃から見ていて知っている事が多いみたいだけど、私だってクラウドが小さい頃の事を知りたいじゃない?」


『確かに、好きな方の事はどんな事でも知りたいものですよね』


今度は私が顔を赤くする番。
さっきの仕返しをされたような気がする。
確かに私はクラウドの事が気になってきているけれど、それをまだサラちゃんには伝えていないというのに。
私ってそんなに分かりやすいのかしら・・・?




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