リナリアの王女
 『クラウド様が初恋の方と結婚するんと私共に仰ってすぐに、私は慣わしについてご説明致しました』
グレンさんはクラウドの教育係だったんだもんね。
『クラウド様はそれでも自分はあの娘と結婚するんだと仰って私共の意見など聞きませんでした』
まったく、ご幼少の時から我儘で困ってしまいますよ、と苦笑交じりに、そして過去を思い出しているのだろうそれでもどこか優しい瞳をしてグレンさんは話し続けた。

『そこで私共はクラウド様の初恋の方にお会いしたいと思ったのです』

きた。
私が知りたいと思い、そして同時に知りたくないとも思っている初恋の人物についての話しだ。
「それで、どんな方だったんですか?」
私は少し言葉に詰まりながらもグレンさんに答えを聞いた。




『それがお会いする事は出来なかったんですよ』




グレンさんはあっさりとそう言った。
「え・・・?会えなかった・・・?」

クラウドが慣わしについて聞いてもなお結婚したいという人を合わせなかったのか・・・?
それとも会えない何か他の特別な理由があったとか・・・?






『はい。その当時、私共は誰一人としてその初恋の方にお会いする事は出来ませんでした』
グレンさんは少し笑いながら、そしてどこか含みを持たせた言い方をした。




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