ケータイうさぎと意地悪先輩。FINAL

「え……?」

 雨瀬先輩は私の耳元に唇を近づけ、

「それとなく、後から俺が着いてくから」

 甘いバリトンの声で囁くように言った。

「!」

 私の顔が、かああっと熱くなる。

 雨瀬先輩は私をそっと離す。

 私は、右手に鞄を持ったまま、ドキン、ドキン、と高鳴る心臓に左手を当てる。

「せ、先輩っ……ありがとうっ……」

 私がそう言うと、雨瀬先輩は、ぽんっと頭に手を乗せる。

「ううん、日曜日、楽しんできなよ」

「はいっ」

 私は笑顔を浮かべながら答えつつも、内心ではもやもやしていた。


 な、なんだろう……。

 先輩からせっかく許しを得たのに……心から喜べない。

 嬉しいような、悲しいような……。


「…………」

 雨瀬先輩はそんな私を黙ったまま、真剣な表情で見ていた。
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