ケータイうさぎと意地悪先輩。FINAL
月日は流れ、一ヵ月後。
「野山さん、退院、おめでとう!」
病室で宇佐野先生が言った。
窓の外からミーン、ミーンと蝉の声が聞こえる。
「ありがとうございます」
私は軽く頭を下げる。
「宇佐野先生、なんとお礼を言っていいか……」
「お母さん、お礼なんていいですよ。野山さんが良くなってくれたことが、なによりの褒美ですから」
宇佐野先生は優しい口調で言うと、また私を見る。
「良くなったとはいえ、油断は禁物だ。野山さん、退院しても、一週間に一度はここに診察を受けに来ること、いいね?」
「はい」
「では」
宇佐野先生は病室から出て行く。
お姉ちゃんが嬉しそうに笑う。
「うさ葉、退院出来て良かったね!」
「うん」
私は微笑む。
「ねこ葉、荷物持った?」
「持ったよ、お母さん」
「じゃあ、うさ葉、行きましょうか」
私はコクンッと頷くと、荷物を持ったお母さんとお姉ちゃんと一緒に病室を出た。