イジワル婚約者と花嫁契約
私が思っている以上に医者という仕事は大変なようだった。
休みもないようだったし。
私はこの時間にお昼を食べるのが当たり前だけど、佐々木さんは違う。
もしかしたら食べられない日もあるんじゃなないのかな?とか思ってしまう。

【お疲れ様です。私も今食べているところです。】

当たり障りのない、素っ気ないメールを返す。
いつもだったら返事はなかなか返ってこないけど、この時はすぐに返信がきた。

【今度一緒に食事でもしよう。いい加減顔見たい。】

「……っ!」

なっ、なにこれ!
なにが『顔見たい』よ!

心の中で盛大に突っ込みを入れているというのに、感情は正直でみるみるうちに顔が熱くなっていく。
だってこんなストレートな言葉、恥ずかしならない方がおかしい。
反則だよ。今までそんな話なんて全然してこなかったのに。

「あらあら、もしかして灯里ちゃんってば青春中?」

「そっ、そんなわけありません!」

慌てて顔を押さえながら下を向き、もう一度メールを確認してしまう。
そこにはさっきと変わらない文面が映し出されている。

不覚にもキュンとさせられてしまった。
男性からこんなメールもらうのなんて、初めてだし。


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