イジワル婚約者と花嫁契約
「とにかく今すぐ俺を好きになってくれない?」

事の成り行きを頭の中で整理していると、聞き返したくなるような言葉が耳に届いた。

「……冗談ですよね?」

引きつる顔で問いかけるも、彼は至って真面目な顔で答えた。

「バーカ。冗談で言うかよ」

冗談じゃない!?本気なの!?

さっきから信じられないことばかり言う目の前の彼を、穴が開くんじゃないかと思うほど見つめてしまう。

すると彼は人をバカにするような、乾いた笑い声を漏らした。

「そんなに見つめるなよ。近い将来嫌でも毎日顔を合わせるんだから」

「……っ!」

ありえない!
なんで初対面の私相手に、彼はこんなこと言えるの!?
……そうよ、私と彼は今日初めて会ったばかりだ。
まだお互いの顔と名前、年齢くらいしか知らない。……なのにどうして?

私にこのお見合い話が舞い込んだのは、つい一週間前のことだった。


* * *

「え、お見合い?……私が?」

「あぁ、どうかな?」
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