【短】イッショニ カエロウ
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朝、階段を降りていくと
パニックに陥っていそうな勢いの母親が、泣きながら僕に言う。
『ちょっと、大変よ!
みーちゃんが・・・
みーちゃんが・・・』
ん?
みーちゃん?
『え?みーちゃんって!?』
『覚えてない?
昔遊んだでしょう?あんなに仲良くて……
一時は結婚の約束まで…』
『良いから!そんな昔のこと』
そう、今は俺には立派な彼女が・・・
うん?
みーちゃん?
彼女の名前も
美由紀・・・みーちゃん?
まさか、ね?
『で、みーちゃんがどうしたの?』
『事故にあって、意識不明だって!』
………事故………
彼女なわけない。
意識があって今日も笑ってくれるハズなんだ。
そう、早く彼女に会いたい
『僕は、ひとまず
学校に行くわ』
『ええ、そうしなさい』
母の言葉に頷き返して、学校へ向かう
僕の胸騒ぎは、学校に一歩近づくにつれ大きくなっていく。