初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
「……、……は?」
数秒して、その声を拾った百井くんが怪訝な顔で初めてわたしを視界に入れる。
突然なにを言いはじめたんだコイツ、というような、そんな瞳と目が合う。
でも、もういい。どうにでもなれ。
もちろん、気持ちを伝えたあとの関係がどうなるのかを考えると、途方もなく怖い。
だけど、実結先輩も百井くんも今の状況から動けないのなら、わたしが少しでも動いてふたりを縛り付けている糸を切るしかない。
「好きな人がいるの。わたしも百井くんや実結先輩と同じ、片想い。だから、好きな人に好きな人がいるつらさは、わたしにだってわかるよ。ふたりと一緒だよ」
3人とも片想い。
実結先輩は持田先生に。
百井くんは先輩に。
わたしは百井くんに。
みんなみんな、一方通行の片想いだ。
「でもわたしは、自分の気持ちを押し殺して相手の幸せを願えるほど器用じゃないし、器も大きくない。身の引き方もわからないし、嫉妬だってする。その人のところに駆けていかないでってどうしても思っちゃうし、きっとそれが、普通の恋愛感情なんだと思う」
素直になれないから、みんなつらい。
みんな苦しい。