初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
気持ちを伝えたい相手も切ない想いを抱えているから、どうしてもそこで気持ちにブレーキがかかる。
それは相手を想っているからこそのもので、けして悪いことじゃない。
だけど、心の中では、どうにかしたいって絶対に思っているはずなんだ。
だったら、まずはわたしが。
根性のあるところを見せないことには、百井くんの心になにも訴えかけられないし、なにも響かせられない。
「誰が誰を好きかなんて、関係ないよ。気持ちを伝えられる相手がいるってだけで奇跡なんだって、わたしはそう思う。だって、目の前にいるんだよ、そこで絵を描いてるんだよ。それなら、ちゃんと伝えなきゃって思うよ」
「……ニナ? なに言って……?」
いよいよ雲行きが怪しくなって、焦ったふうに椅子から腰を浮かせた百井くんが、その格好のまま止めに入る。
でも、そう簡単に止められてなるものか。
奥歯にぐっと力を入れて、深く息を吸い込む。
それから。
「わたしだって百井くんが好きだっ! 百井くんは実結先輩のことが好きだってずっと前からわかってたけど、それでもいつの間にか好きになっちゃったんだから、もう仕方がないの! 先輩との間になにがあるかなんて、わたしにはわかるはずもないよ。でも、そんなの、わたしが百井くんに好きだって言わない理由にはならないからっ!」