白黒のぬくもり
耳をねかせて必死の抵抗。
そっとシャワーをアルトの体にあてる、すぐにプルプルっと体を震わせて毛についたお湯を振り払う。
「いーじゃーん、一緒にお風呂入ろう!」
嫌がるのを半ば無視して、強引にシャワーをあてる。
「あぁ!!」びしょ濡れになったところで重大な事に気付いた。

「猫ちゃん用シャンプー買ってきてないやぁ!」
人間用を猫に使ってもいいものだろうか…?
猫の本には『猫用シャンプーで洗ってあげて下さい』とは確かに書かれていたけれど『人間用シャンプーは使わないで下さい』とは書いていなかった。

はて…どうしたものか…。
目の前にはびしょ濡れで、なんとも貧相になってしまったアルトが「どうする気?」といった表情で見ている。

「んー。美容室のシャンプーだし、大丈夫でしょ!」少し不安は残るもののシャンプーを手に取ると、アルトの白黒の体に撫で付けて、ごしごしと泡立てて洗いはじめた。

最初こそ抵抗していたものの、シャンプーをしているうちに観念したのか、気持ちよくなってきたのか、じっとしている。
シャンプーだけだとゴワゴワになると思い、トリートメントをたっぷりと毛につけ、洗い流した。

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