白黒のぬくもり
「よーし!終わりっ!」
ぱっと自分の体を見るとアルトの毛が無数にくっついていた。

一旦、アルトをシャワーカーテンの外に出し、ざっと体を流しユニットバスの内側に掛けておいたバスタオルで体を拭き、ついで針金か??と言いたくなる程毛がぺしゃんこになって骨格丸出しのアルトにバスタオルを巻き付けて、ぐしぐし、と拭く。

「暴れないでよー」シャンプーの時よりも、タオルでぐしぐしやられるのが嫌なのか、くるりんと身を翻してはタオルの中から飛び出てしまう。

それでもなんとか拭いて、粗方水分が取れたところで扉を開けると一目散にソファー脇に逃げ込んだ。
アルトが走っていった跡は小さな足形で濡れていた。
ソファーの方へ寄ってみてみると「この野郎ー!!」という感じで体を一生懸命舐めまくっている。

「濡れるの嫌なんだよねぇ…でも綺麗になったよ?」んー!完全にシカト…
部屋着に着替えてコーヒーを飲んで、ちらっとソファーの脇を見るとまだペロペロと舐めている。

テーブル下にあるドライヤーを引っ張り出してプラグをコンセントに差し込むと、温風にしアルトにあてた。
瞬間バタバター!と凄い音を立てアルトは玄関先まで走っていった…
< 47 / 99 >

この作品をシェア

pagetop