Secret Mission



それもそうだろう。


王子の名で親しまれていた優しげな青年がいきなり貼り付けていた笑顔を落とし、雰囲気も別人のようになっていたのだから。


「バカだな、宗平。」

「辰巳よりかは馬鹿じゃないよ。
それともなに?テストで俺に勝ってみる?」

「そういう意味じゃねぇ……」


唖然としているクラスを置き去りにして三人は席に着く。

その瞬間、チャイムがなり先生が入ってきた。


「おいお前ら、席に付けーって……ん?」


教卓に手を置き先生は生徒たちに呼びかける。

そして、水樹の方を見た。


「あれ、熊野変装止めたのか?」

「ええ、まぁ。」


そうこの先生、水樹の変装のことは知っていた。
担任だからと言うのもあるが、この村井先生は水樹が高校一年生の頃、受け持っていた先生だ。

前の学校――と言っても依頼されたに過ぎなく、その依頼主が村井だ。

だから接点はある。

二人共赤の他人の様に装っていたが……。


「ふぅーん…まぁいいや、授業始めるぞ。153頁開けー。」


いつか、その話もしてみたいものだ。


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