婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~

そこは二人が付き合っていた頃、よく圭司がバイクでなつを送り届けた思い出の公園だった。

もうあの頃には戻れない…。
なつの心は虚しさでいっぱいだった。

「さっきは、取り乱してごめんなさい。でも、由香理さんのことはやっぱりショックだったから」

「ああ。ごめんな」

圭司は由香理との関係を認めるように頷いた。

「彼女とはいつから付き合ってるの?」

「付き合って半年くらいかな。彼女はお袋の担当看護師だったんだけど、彼女と知り合った頃の俺はさ、親父の借金を返し終えたもののなつの元に戻れないと分かって惰性でホストを続けてた時期だった。そんな時、彼女が青龍会の奴らに脅されてるところを目撃したんだ。彼女は父親の借金のかたに青龍会の会長の愛人にさせられそうになってて。どうしてもほっとけなくて俺が青龍会と話をつけて、全額肩代わりしてやったんだけど、それがきっかけで付き合ってる」

そんな説明を受けたなつは、しばらく言葉を失ってしまった。

「好きなんだよね? 由香理さんのこと。なのに何で私のことを抱いたりしたの?」

「それは…………久しぶりになつに再会したら昔の気持ちが蘇ったんだよ。でも、俺となつはどのみち住む世界が違うだろ? なつを抱いたら、やっぱり由香理が大事だって思い知らされた。ごめんな、なつ。最低な事を言う。あの夜のことは無かったことにしてほしい。由香理を傷つけたくないんだ。なつなら分かってくれるよな?」

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