優しい黒魔女
その証拠に彼女が使役する精霊は他にも多くいるのだが、契約を望んだのは彼等の方で、マイコは別段希望は無かった。

正直そんな何十匹も要らないのだけど、彼等は迫ってくるわ懇願してくるわで、最終的に泣き落とししてくるものだから諦めた。



「森の奥で魔物に襲われている人間がいましたが如何いたしますか?」

「あら」



鈴の音を思わせる可愛らしい声音に、マイコは目を大きくする。



「命知らずがまだいたのねぇ」

「実力はあるみたいですが、相手が悪かったですね。あのケルベロスですから」

「それを早く言いなさい!」



シェフレラの言葉にザァッと青ざめた。

マイコは慌ててIHとオーブントースタもどきの魔力回路を断ち、救急道具が入った鞄をひっ掴んで外に飛び出した。
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