優しい黒魔女
「シェフレラ」

「はい」



主人の考えを正確に読み取りシェフレラは頷いた。

人間の場所を思念で主人に伝える。

マイコは頭の中に流れ込んできた人の位置を確認して「テレポート」と呟いた。

瞬く間に着いたそこには今にもケルベロスの吐く炎によって壊れてしまいそうな結界と、血塗れの男。



「ハイヒール、リ・バリア、アイスブレス」



淡々と抑揚の無い声音で唱える。

間に合えと、そう念じながら。


男の無惨に裂かれた腹が、ゆっくりと細胞が再構築されて塞がってゆく。

ひゅーひゅーと音を鳴らしていた息も徐々に落ち着いていく。


シェフレラが張った結界はマイコの結界補強によって元以上の強度を増してケルベロスの炎を跳ね返した。

戸惑うケルベロスに氷を吹きかけて畳み掛ける。
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