形なき愛を血と称して。【狂愛エンド】
『愛されなかったんだね、君も』
『愛されたかったんだね、君も』
反芻し続けてきた言葉も薄れていく。
やっと、僕は彼女の愛を手に入れることが出来たんだ。
命を落とすほどの価値はある。
そうでもしなければ、愛してもらえない。
「嬉しい、嬉しいよ……!」
効いてきた薬の効果も、彼女に愛される事実に比べれば微々たる悦楽だった。
最後まで正気を保てる。言葉を忘れずに、彼女に愛を叫び続けることが出来るんだ。
渇いた喉を彼女の唾液で潤し、最後まで叫んだ。
愛していると、彼女の名前を呼びながら。
やがて。
「あっ、ひっ、り、と!」
喘ぎの中に混じる涙と共に。
「あっ、ひうっ、るとっ。りひる、と!」
「やっぱり、君はーー」
言語を忘れたはずの彼女が、唯一覚えていたもの。
それに酷く安堵したと同時に、視界が淀む。
最後まで愛していると言うつもりだったのに。