Wildcat~この愛をあなたに~
「あのさ峰さんお願いがあるんだけど」
「珍しいですね」
「これ消えないかな」
「えっ?タトゥーですか?」
「もう必要ないから
あと電話も貸して」
「わかりました」
無性にあいつの声が聞きたくなって電話をかけた
寝てしまってるだろうか
でも話したいんだ
何回めかのコールの後、眠そうな声がした
「もしもし」
「柏木です」
「一希さん?大丈夫ですか?今どこですか?」
「おまえに話したいことがある」
「はい」
「悪かったな、あの時ちゃんと言ってやれなくて」
一希さんが間をあけて言う
「俺のこと好きなのか?」
今度はちゃんときけたあの言葉
「はい」
「明日、会いに行く」
「はい」
嬉しい一希さんがやっと心を開いてくれた
「一希さんおやすみなさい」
「あぁ」
明日の朝が待ちきれないまま私は眠りにおちた
目覚めると朝の光が眩しくてまるで今日の私の気持ちのように晴れ晴れしていた
ひとつ伸びをしたらノックが聞こえた
「おはよ」
ドアを開けたのは一希さんで私は待ちきれずに抱きついた
「おはようございます」
「ってえな」
「ごめんなさい嬉しくてつい」
頭を撫でる腕には白い包帯が巻かれていた
「消したんだ」
「えっ···」
「だから蜥蜴」
「えっなんで」
「鈍感」
こつんと額を叩かれて私は困惑する
「一希さん?」
「一度しか言わないからな?
おまえのことキライじゃない
だからつきあえいいな?」
有無を言わせない強い瞳に私は頷いた
「はい、私はずっと一希さんが好きでした」
病院から退院したらお店に顔をだしてそれからそれから
「なに考えてる?」
「なんでもないです」
「つーかいつまで抱きついてるんだよ」
ちらりと一希さんの顔を見る
一希さんの鎖骨の下に小さな蜥蜴のタトゥーがある
「やっぱり忘れられないんですね」
「またそうやって拗ねる」
「拗ねてません」
それからしばらくして私は退院した
しばらくぶりのお店は不思議の国のアリスをモチーフにしており沢山のお客様で賑わっていた
「おかえり」
「帝さん」
「やっぱり一希を選んだんだ
まっ幸せにね」
「はい」
ちらりと一希さんがこちらを見た
「一希さん」
「おかえり」
「はい、これからは一緒ですねずっと」
「まあな」
私は会社を辞めこの兎の穴で働いている
ここを訪れたらきっとあなたにも小さな幸せが舞い込みますよ
心よりご来店お待ちしております
~fin~
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