ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
ミンクという名前の店。
昼は喫茶店
夜はスナック
因みに弥生は夜この店で働いている。
16歳の時から年を誤魔化して。
弥生という名前はこのミンクでついた。
周りの人はみんな弥生が本名だと思っている。


『あらー ぶんちゃーん いらっしゃーぃ、久々だねぇー』
昼間の薄化粧ママがぼくは好きだ。
夜のママは全く違う。苦手だ。
『うん…ちょっと…待ち合わせなんだ…』 『へぇー これ?』 ママは覗きこむように左手の小指を立てた。『それならこんな店こないよー』
『あらっ 失礼ねぇーこんな店はないでしょーこんな店はー』
ニコニコしながらママは言う。
『アイスミルク!』
『あいよ』
『ガムシロいれちゃっていいから!』
『あいよ』
笑うとエクボがくっきりでる。
初めてミンクに飲みに来たときビール2本で12000円捕られた時は、絶対ぶっ殺す!と思ったが…
ママはこのエクボで今も生きていられる。


『よう!』
『あっ どうもっす』
和人さんだ。
地元ではある意味有名なヤクザだ。
だけどポン中(シャブ中)だから組の人間から馬鹿にされている。ぼくも心から馬鹿だと思っている。


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