ちょっぴり恋して
今日は朝から小雨が降り続いていた。

空が薄暗く雷注意報も出ていた。

いつものようにかおるさんのいるテニスクラブのレストランで

彼女とランチを食べて帰るところだった。

雨なのにコートでサーブを打っている人がいた。

いったいどういう心境で雨の中にいるのかしらと思った。

かおるさんに聞いたら

彼はコーチだと言った。

「小野コーチよ。結構クラスの生徒に評判いいのよ。あのルックスに長身でしょ。声も渋くて。でも硬派で女っ気ゼロだっていう噂よ。テニス一筋のスポ根ですって。勿体ないわよね。」

ピカッ!

ドーンゴロゴロゴロ。

雷が轟いた。

「キャー!私雷弱いんだ。じゃ、未由ちゃん、またね。私、上の事務室に戻るから。」

ザアーッと急に雨の降り方が強くなり

雷が続いた。

外のコートを見たら

先ほどのコーチが打ったボールを拾っていた。

彼は全身びしょ濡れだ。

あんなにビショビショになって風邪を引かないのかしら?

雨はどしゃ降りになった。

私はかおるさんから受け取った品が雨に濡れないように胸に抱えて持った。

駐車場へ行くだけでびしょ濡れになりそうだ。

エントランスで傘立てから傘を抜いた。

< 3 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop