不順な恋の始め方

ふう、はあ、と大きく深呼吸をする私。

そんな私の目の前にあるテーブルへ、突然1つのアイスティーが置かれる

驚いた私は無意識に深呼吸を止め、ゆっくりと顔を上げた。


「お久しぶり。ゆっくりしてってね」


そこに居たのは、他の男性と比べると比較的長髪でパーマのあてられた黒髪が印象的な涼ちゃんの旦那さん

ここでやっと私は、営業時間に乗り込み、スタッフである涼ちゃんを巻き込んで。なんて迷惑な事をしているのだろうと我に返った。


「あ……す、すみません。えっと……やっぱりまた来ます」


ガタンと無機質な木製の音を立ててイスから腰を上げる私

そんな私に旦那さんの圭(ケイ)さんは「いいよ、大丈夫。今日全然人いないし、ほらね?」と店を見渡して一言

「でも」と涼ちゃんの方を向けば、座りなさいと言わんばかりに私が座っていた席に指をバウンドさせていて。

私は申し訳なさに見舞われつつも、大人しく席に着いた

< 3 / 195 >

この作品をシェア

pagetop