不順な恋の始め方
「すみません…涼ちゃんも、ごめんね」
「私達のことはいいから、ほら、柚希はとりあえず落ち着いて」
涼ちゃんに再び背中を優しくさすられ、私は一度だけ大きく深呼吸をした。
そして
「お腹に子供が……できたみたい、なの」
そう、小さく、小さく。涼ちゃんにしか聞こえないような大きさで呟いた。
涼ちゃんのリアクションは怖くて見たくなかった。見られないと思っていた。
しかし、何も言いださない涼ちゃんに流石に不安になってしまい、チラリと覗き込むようにして表情を伺う
「えっ……と? ちょ、ちょっと待って。ねえ、柚希。あんた彼氏いないじゃない」
涼ちゃんを見ると、涼ちゃんはまだ状況が掴めていないのか混乱している様子
「そうなんだけど……実は」
「なに、勢いで誰かとしちゃったっていうの?」
「え!!」
混乱している様子だった涼ちゃんにカミングアウトしようと試みたが、涼ちゃんは私の言葉を遮り、その続きを見事に当ててみせた。
混乱していたかと思えば、たったの一瞬で状況を飲み込んでしまった……流石は涼ちゃん。