不順な恋の始め方

麦茶の注がれたコップを２つ両手で持ち上げた坂口先輩が、そのままこちらへとやって来る。


「おーい、いつまでもそんなとこ立ってんと座りいやー？」

「あ、はい」


私は返事をして、遠慮がちにテーブル横辺りのフローリングへ座り込んだ。

すると、ちょうどテーブルの上にコップを置いていた最中の坂口先輩が「あー！ あかんあかん」と声を出す

何がいけないのかさっぱり分からなかった私は、ただ首を傾げていたのだが


「そんなとこ座ったら冷えるやろー。森下さんはコッチ」


どうやらいけなかったのは私の座った場所のことらしく、私は坂口先輩に指示されたとおりソファーへと腰をかけなおした


「すみません」

「ええよええよ、そんくらい。あ、はい、どーぞ」

「あ、ありがとうございます。いただきます」


坂口先輩に差し出された麦茶入りのコップを受け取り、飲み口へと口を付けた私はそれを傾け喉へ流し込む