王様とうさぎさん
 テレビ横のローボードからポーチを取ると、そのまま戻っていく。

 そして、洗面所のドアが閉まってしばらくして、悲鳴が聞こえた。

 莉王が凄い勢いで駆け戻ってくる。

「私、今、眼鏡かけてましたね!?」

 そう叫ぶ莉王は既に外していた。

 うん、まあ……と答えると、莉王は、
「見ましたね、見ましたね、見ましたね〜っ」
と裸を見られたかの如き勢いで騒いでいる。

「いやあの……可愛かったが」

「嘘です。
 嘘ですよ〜っ。

 最悪なんですからっ。
 私の眼鏡姿っ。

 なんかこう、ぼんやりして見えるというかっ」

 いや、まあ、それはいつもだろう、と思った。

 しかし、そう言ったら、怒られそうなので、

「大丈夫だ。

 いつもそんなにお前の顔は見ていないから」

 そう言うと、莉王は、ぴたりと止まり、

「あっ、そうですか」
と言って戻っていってしまった。

 ……なにか失敗したようだ。
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