王様とうさぎさん
車に戻ったあと、莉王は今の自分の言動をひとり反省しているようだった。
「すみませんでした。
暑いですね。
日焼けしそう。
潮が聞いてたら、かーっ、めんどくさい奴ーって叫びそうなこと言っちゃいました」
「うん。
わかったから。
でも、今のは何処までが俺に言っていて、何処からが独り言だ?」
「日焼けしそう、以外です」
と多少、しゅんとして莉王は言う。
彼女がそうしていると、うさぎがしょげているようで。
うさぎは淋しいと死んじゃうんだよ、というフレーズが何故か今、頭に甦った。
餌のひとつも与えたくなる。
「お昼、何処か食べに行くか?」
そう訊いてみたが、
「いえ、いいです」
と莉王はテンションが低い。
こいつが静かだと不気味だ。
しかし、そう思った瞬間、
「いたっ」
と莉王が叫んで首筋を押さえた。
「どうかしたのか?」
「いえ——
今、針で刺されたみたいに感じて」
振り向いた莉王は、後部座席を見つめ、そのまま黙っている。