王様とうさぎさん



 小高い山の上に允の実家はあった。

 寺のすぐ横が母屋になっている。

 境内に仁王立ちになっている脂ぎったオヤジが居た。

 車を降りるなり、

「ほう。
 よく来たな、王様」
と言う。

 及川さん……。

 だから、なんで、そんなに威張って——

 え?

「王様って?」
と訊き返すと、

「お前のあだ名は王様だそうじゃないか、天野莉王」

 横で吹き出した允を見、及川は、

「忍に聞いた」
と言う。

 おのれ~っ。
 忍さんめっ。

 そういえば、今日は忍は来ていないのだろうか、と見回すと、気づいたらしい及川は、

「忍は昼間は寝てる。

 爺さんばかりですまんな」
と威張ったまま言った。
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