王様とうさぎさん
「最近は、五月くらいから、台風が来るから、天候は読めんわい」

「外でやるわけじゃないから、よかろう」

 それらの話を聞きながら、ああ、やっぱり、すべてがこの寺の中で完結する式なのか、と残念に思った。

 まあ、ほんとに式をやるわけじゃないので、別にいいのだが。

「ねえ、あれやるの?」
と側に腰を下ろしながら、忍が笑って訊いてくる。

「そりゃあ、一応、儀式じゃからのう」
と老人たちが口々に答えた。

「あ、あれってなんですか?」
と問うと、忍が軽い調子で教えてくれる。

「いや、単に、新しくこの家に入る花嫁に、ご先祖様の位牌がずらっと並んだ部屋で、七日間一人で寝てもらうだけだよ。

 なんてことないよ」

 ……そりゃまあ、普通の人には。

 莉王の霊感を知る忍が、

「大丈夫?
 莉王ちゃん」
と言ってくる。

「僕が一緒に寝てあげようか」

「忍。
 お前が言うと、なんだか洒落にならんからやめろ」

 そう及川が渋い顔をした。
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