王様とうさぎさん
夢を見た。
見知らぬ小高い丘に莉王は立っていた。
周りを何故かお地蔵様に囲まれている。
な、なにか御用ですか、とお地蔵様たちに思った。
なんだかわからないが、観察されている気がしたからだ。
でも、全然厭な感じはしなかった。
そのうち気づく。
丘の少し先に大きな楠があることに。
それは允の寺の境内にあったものと同じもののようだった。
傘を持たない清香がその下に立っていた。
「ちょっとすみません」
とお地蔵様たちを跨がないように避けて、莉王はそこまで行った。
いつの間にか手にしていた傘を清香に向かい、差し掛ける。
清香が顔を上げた。
水滴が彼女の髪を濡らしている。
本当に生きてそこに居るように、はっきりと清香の瞳が見えた。