王様とうさぎさん




「霊が憑いてるって言ったんだ、黒部清香は」

 会社に行く車に今日は真人も、何故か、忍も乗っていた。

 清香の秘密だからと今まで黙っていた話を允は始める。

 彼女をちゃんと上に上げてやるために。

「私に憑いている霊の正体を見極めて、成仏させてやってくれって。

 霊は見えないと言ったら、お坊様のくせに、と罵られた。

 なにか思い詰めてる風だったよ。

 詳しく話してくれと言ったら、それは出来ないと言ったんだ。

 そして、誰にもこの話はするなと。

 誰かに力になってもらう訳にもいかずに、どうしようかと思っているうちに、清香は自殺した。

 山にある菩提樹の下で紅茶に薬を混ぜて。

 俺のせいだと思ったよ」

 後部座席の真人が言う。

「あんまり允さんのせいじゃないと思いますよ」

 一応、あんまり、とつけているのは、長年、允を恨んできた彼の心の表れなのか。
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