王様とうさぎさん
 


 そのチョコレートのドアを開けると、忍の声がした。

「あー、ごめん。
 開店まで、あと十分ー。

 まあ、いいか」
と顔を上げた彼は、莉王に気づき、やあ、と笑う。

「王様いらっしゃい。

 あれ? 一人?」

 後から誰か来るの? と訊いてくる。

「来ないんですけど。

 允さん、今日、残業なんで、いいですか? ちょっと」

「いいよー」

 座って、と言いながら、棚を拭いていた。

「なにか手伝いましょうか?」

 忍は、あはは、と笑い、

「大丈夫。
 花嫁さんは手を荒らさないで」
と言い出す。

「……もしかして、もう知ってるんですか?」

「允が電話してきたからねえ。
 あいつ、いざとなったら、行動早いから」

 君に声をかけたのも早かった、と言う。
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