王様とうさぎさん
「いやあ、そんなわけじゃ……」

 まあ、あるけど、と苦笑しつつ、思っていた。

「まあ、清香にオッサン好きの趣味があったりしたら、太郎さんとか入ってきて、増えちゃうけど」

「及川さんは?」

「……厭な話題出さないでくれる?

 あの人、昔の写真、持ち歩いてるけど、顔に貼って歩いてるわけじゃないから」

 途端に不機嫌になった忍に言う。

「だ、大丈夫ですよ。

 言う程、似てませんよ、忍さんとは。

 それに、年のとり方は人それぞれですが」

「なんか、フォロー入れられると、余計痛いんだけど」

 忍はそこで溜息をついて言った。

「犯人は、清香の担任の高崎だよ」

「……は?」

「僕と允クラスのイケメンと言うと、真人とあいつしか居ない。

 真人はあのとき、まだ子どもで相手にされてなかったから、高崎だ」

「いやあの……

 言い切っていいんですかね?」

 犯人、という意味でも、イケメン、という意味でも。
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