王様とうさぎさん
 


 会社に着いて、一仕事を終えてから、営業に出向くと、真人は給湯室の冷蔵庫に寄りかかり、コンビニで買ってきたらしいアイス珈琲を飲んでいた。

「おはよう。
 允さん、来た?」
と言うと、

「え?
 なんで」
と言う。

「いや、来てないんなら、いいんだけど。

 ……真人には自分から言おうかな、と思って」
と言うと、さすが彼は目敏く見つけて言う。

「あっ。
 お前、なんだよ、その指輪っ」

「昨日、貰ったんだけど」
と言うと、ふうん、という顔をする。

「なによ」

「いーや。
 結局、そうなるんだな、と思って。

 ぐいぐい押してったもん勝ちかよ」
とふて腐れたように冷蔵庫にしがみついて、珈琲を飲んでいる。

「ガンガン押してくのは、あんたの得意技だって聞いたけど」
と言うと、真人は、

「お前には押してねえだろっ!?」
と苛立ったように言う。
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