王様とうさぎさん



「いらっしゃい、卯崎さん。
 まあー、話に聞いてた通りの男前ねえ」

 庭先で舞い上がる我が母親に、莉王は恥ずかしくなって俯いた。

 允がこちらを見る。

「あの、その情報、私じゃないですから」
と弁解した。

 どうやら、
『いやー、王様、ヒロちゃんとこの娘だったんだねえ』
と言った爺さんがしゃべったようだった。

「まあー、ほんとに。
 うちの娘なんかを。

 まあー、これでいいんですか? ほんとに」

「やめてお母さん、恥ずかしいから……」

 允は、ははは、と笑って合わせていた。

「うちよりデカイ寺だな」
と隣の本堂を見上げて允が言う。

「継がなくていいのか?」

「うち、おにいちゃん居るから。

 ふらふらしてるけど。

 たぶん……継いでくれる……はず」

 継いでくれないと、父親が引退した暁には、みな、路頭に迷うことになるのだが。
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