王様とうさぎさん



 森の中にその教会はあった。

 確かに小さく素朴だが、アンティーク調でお洒落だ。

 大きな窓から見える緑が眩しい。

「最近、改装したんですよ」
と城ヶ崎は微笑む。

 勝手に髭をたくわえたお爺さんを想像していたのだが、違った。

 まだ若い。

 忍が、
「なに爺さんだと思ってたの?
 なんで」
と笑うが、

「いや、子どもの頃、お菓子目当てに教会に通ってて、そのときの牧師さんが、おじいさんだったんですよ」

 それでです、と言うと、更に笑われた。

「おうち、お寺だったんだよね?」

 城ヶ崎は、

「まあ、そういうことはよくありますよ」
と笑っている。

 濃い顔の、忍とは違った意味で、結婚詐欺師になれそうな人だった。

「式の打ち合わせに来ておいて、旦那より城ヶ崎さんの方がいいって言い出す花嫁も居るくらいだからねえ。

 まあ、式のとき、どうしても比べちゃうしねー、並んで立つと」

 なるほど。

 やはり、牧師は老人がいいようだ、と思った。
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