王様とうさぎさん
「だいたい、式は明日なのに、立ち止まる暇もないと思うんですけど」

「いや、浮気は二、三時間もあればできるよ」

 ほんとにこの人は……と思いながら、笑ってしまった。

「ありがとうございます」

「ん? ありがとうございます?」
と忍は訊き返してくる。

「お陰で気が楽になりました。

 忍さん、なんでも軽く言ってくれるから。

 お腹空いちゃった。

 お昼、お寿司だったから。

 お寿司と焼き肉って、その場では満腹だと思っても、すぐ、お腹空きませんか?」

「そんなの王様だけだって」

「ケーキでも奢りますよ」
とログハウスのドアを押すと、

「ほんと聞いてないね~、人の話」
と言われた。

「言葉の意味もあまり理解できないようだし」
と言うのも聞こえた。
< 460 / 508 >

この作品をシェア

pagetop