王様とうさぎさん
「言いなさいよ、自分で。
 ちゃんと見て、褒めてって。

 じゃないと結婚しないからって」

 ……だから、貴女は、いつ、成仏するんですか、と振り返ったが、清香は姿を見せては来なかった。

 二人きりのところを邪魔しないように、気を使ってくれているのかもしれない。

 いや、話しかけて来たら同じことなのだが、と思いはしたが、嬉しかった。

「結婚は女の夢なのよ。

 何ヶ月もかけて、準備するのも楽しみなのよ。

 それをこの男は奪ったのよ。

 此処で、褒め言葉のひとつもないようなら、この先も、その気の利かなさが原因で、どうせ、破局するわよっ」

 い、いや、そこまでは……。

 高校生だったのに、大人びた人だった、という印象だったのだが。

 やはり、そこは、高校生。

 随分とピュアなまま時間が止まってしまっているようだった。

 真人や忍さんが、あんなに彼女を気にかけていたわけがなんだかわかる気がした。

 歳のわりに世捨て人のような落ち着きがありながらも、こういうピュアな一面がある。

 そのアンバランスさが魅力ある雰囲気を醸し出していたのだろう。

 だから、高崎先生とやらも、彼女から離れがたかったのに違いない。
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