王様とうさぎさん
「忍さん、そんな無茶な要求しなくていいです」

 なにも考えてないときは、さらっと凄いことを言ってくれたりするが。

 頭でこう言えば、相手が喜ぶだろうとか考えて言えるような人間でないことは、もうよくわかっている。

 忍もわかっているのだろう。

「だよね~」
と苦笑いして、言っていた。

「じゃあ、またあとで」
と忍が出て行き、潮も連れてきた彼氏のところに戻ってしまう。

 允と二人きりになると、なんだか気詰まりだった。

 お互い、黙って、俯いてしまう。

 莉王は、ちらと壁に設えられている大きな鏡を見た。

 あーあ。
 別にこの人に嘘くさく褒めて欲しいとは思わないけど。

 でも、……やっぱり、ちょっと。

 このドレス。

 一目で気に入ったんだ。

 允さんは迷わなかったからびっくりしたって言ったけど。

 迷う必要もないくらいに。

 シンプルなビスチェタイプの白いウェディングドレス。

 胸許に少しだけ、シルバーの刺繍が入って、ビジューがあしらわれている。

 ちょっと泣きたくなってきたな、と思っていると、耳許で声がする。
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