王様とうさぎさん
「莫迦じゃないのっ。
 こんなもの出したら、私、外を歩けないじゃんっ」

「目許を黒い線で覆って歩きなさいよっ」

 写真じゃなくて、私がかっ、と思っていると、忍がさっきの女性に笑顔で手を振り、やってきた。

 女は機嫌良く、離れたところに止めていたパステルカラーの車に戻っていく。

「携帯の番号、教えてくれた」
と言う忍に、

「……どんな技ですか」
と呟く。

 莉王の回し蹴りなどより、余程凄い。

「今度はお前が刺されるぞ」
と允が言っていた。

 莉王は、まだ盛り上がっているみんなの向こうに、真人の影を探してみたが、やはり、彼は現れないようだった。

「真人、来なかったな……」
と呟くと、忍が、携帯をポケットにしまいながら、

「なんで真人が来なかったのか、わかるよ」
と言い出した。

「でも、そこで引くから、あいつは駄目なんだよ。

 きっと用事があったって、酔ってから二次会に来るよ」

 なにがどう駄目なんだろう、と思っている横で、潮が、
「あっ、あんた、ブーケ投げてないっ」
と言い出した。
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