王様とうさぎさん
奴は犯罪者だ。
そう呟きながら、莉王は部屋のクッションを殴っていた。
テレビでは、何が楽しいのかわからないが、バラエティー番組で、タレントたちが転げ回って笑っている。
いつもなら、面白くなくても、つられて笑うところだが、今日は神経がささくれ立っていた。
耳につく笑い声を聞くたび、凶暴になる気がした。
しかし、部屋の隅にあったうさぎのぬいぐるみを殴りかけて、とどまる。
白目のない目。
真っ黒なつぶらな瞳でうさぎは自分を見つめていた。
何があっても微笑んでいるうさぎを見、こんないたいけなものを殴ってはいけないわ、と思いとどまったのだ。
いくら、あのうさぎが強姦魔でも……っ。
いや、そこまではされていないが、気分的にはそのくらい穢された感じだった。
気が乗らず、結局、コンパは佐江に代わりに行ってもらった。
その連絡を潮に入れると、潮は、
「私も代わりたいなー」
と言い出した。
どうやら、真人たちの呑み会に行きたかったらしい。
だが、さすがに幹事なので、思いとどまったようだった。
「聞いてよ〜」
と允に頼まれたことは語らずに、允にキスされたことだけを告げる。
こんなときでも勝手に允の依頼について話すのは、さすがに、まずいだろうと思ったからだ。