キミがこの手を取ってくれるなら

3、最後の秘密


翌朝。
私は携帯のアラームの音で目を覚ました。

あ…仕事に行く時間だ…起きなきゃ。

止めようと無意識に手を伸ばして……目の前にいるじゅんたにようやく気づいた。


そっか……私はじゅんたと一緒に朝を迎えたんだった、と寝ぼけた頭がようやく状況を理解した。

そっと眠っているじゅんたを見る。
無防備な寝顔に、思わず顔がにやけてしまう。


いつもはどちらかというと可愛らしい表情を見せるじゅんただけど、目を閉じて眠っている顔は、整っていて、意外と端正な顔立ちだと分かる。


…しあわせだな。


胸の中が温かくなっていく。
誰かと…好きな人とこうして一緒に朝を迎えることが、こんなにも嬉しいことだったなんて。

今まで、知らなくて損しちゃった。


新しい恋の始まりの朝を、私は目も眩むような幸福の中で迎えた。


「うーん…」
カーテンから射し込む光が眩しかったのか、少しだけ顔をしかめながら、じゅんたがゆっくりと目を開けた。


目と目が合う。
「…何だよ。ずっと見てたのかよ?ってか、今何時なんだ?」

「6時…」

「はぁ?早すぎるだろ。お前、日曜日もこんな早くに起きるのか?」

「アラーム直すのが面倒で…」

「曜日の設定、できるだろうが。」
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