キミがこの手を取ってくれるなら
「これ、急にバイトを頼んじゃったおわびね、残り物で悪いけど。」と帰りに志帆さんが売れ残ったパンを全部持たせてくれた。
パンが入った袋をガサガサと揺らしながら、私達は奏ちゃんのアパートへ向かっていた。
「楽しかったねー!」
と私が言うと、「すっかり遅くなっちゃったけどな。」と奏ちゃんが申し訳なさそうに言った。
「だったら泊まってもいいだろ?俺運転だるいし。布団あったよな?」
あっさり奏ちゃん家に泊めてもらうことになった。母が喜んじゃうな。
電話をかけると「奈緒子ー、が・ん・ば・り・なさい。」と含みのある声で言われた。
私の思い込みが激しいのは、母の遺伝かもしれない…
コンビニで夕飯と歯ブラシなんかを買う。
急に泊まることになったって、こうして化粧水とか下着なんかが買えるから、コンビニって便利だ。さすがに下着は一緒に買えないけど。
なんか、嘘みたいだ。
奏ちゃんと会えたことも、会話できたことも、こうして泊めてもらおうとしていることも全部。
2人の優しさが嬉しかった。
それから、アパートに戻った私達は会えなかった時間を埋めるようにいろんな話をした。
そして、空が明るくなって来た頃、ようやく眠りについた。