キミがこの手を取ってくれるなら

「分からないんです…土曜日に確かに嫌なことはあったんですけど…」

どんどん違和感が広がっていく。
シクシクと胃が痛みだした。

「…お前、どんどん顔色が悪くなってきてるぞ。今日はもう帰れ。そんなんじゃ、仕事にならない。ましてや、指導なんて無理だ。」

「…えっ?」

休む、という選択肢が全く頭になかった私は驚いた。

どうしてそんなことを言うの?

昨日溢れ出してきた苦い感情が、また全身に広がって来てあっという間に飲み込まれていく。
人付き合いがうまくいかない。愛されない。そんな自分のことが嫌で嫌でたまらない。

唯一認められている仕事までしなくてもいいと言われてしまったら、私には一体何が残るの?


…私は、誰にも必要とされない無価値な人間になってしまう。


そう考えたら、胃がぎゅっ、と痛み身体の奥から何かがせり上がってきた。

「おい、姫!」

口を押さえ、よろけるように部屋を出ようとする私を北原さんが慌てて抱えてトイレへと連れていく。

ろくに飲み食いしていなかった私の胃は悲鳴をあげ、わずかな水分も吐くことができなかった。猛烈な吐き気だけが絶え間なく襲ってくる。

そのまま、私は意識を失った。
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