キミがこの手を取ってくれるなら

気がつくと私は病院のベッドの上にいた。
周りは薄暗くなっていた。ずいぶん長く眠ってしまっていたらしい。

「気がついた?」

ふいに声をかけられ、ゆっくりと声のしたほうに視線を向ける。意外な人がそこにいた。

「…奏ちゃん…?」

「北原さんが、店に知らせてくれたんだ。昼近くまで付き添ってくれてたみたいだよ。おばさんから聞いた。さっきまでおばさんもいたんだけど、2、3日入院になりそうだから必要なものを取りに帰るって。」

北原さんが奏ちゃんにも知らせてくれたんだ…

「なぁ奈緒。北原さんが言ってた。奈緒が倒れる前、様子がおかしかったって。土曜日、うちの店にも来てただろ?陽介さんも奈緒が何か悩んでるみたいだったって…何かあったのか?」

何もないよ、と咄嗟に言いかけて、北原さんが話していた言葉がふと甦る。

「気になることは、必ず確認しとくんだぞ。」


私は口を開いた。今しか聞けないと思った。

「ねぇ、奏ちゃん。私がはじめて『Milky Way』に行った時、奏ちゃんがじゅんたのこと、からかってたでしょ?『カオリちゃん』って…あれって…崎山香織さんのこと?」

奏ちゃんは驚いている様だった。
「奈緒…崎山と会ったの?」

やっぱり…奏ちゃんも香織さんのことを知っているんだ。

私はうん、とうなずいた。

どんな関係?と聞きたかったが、まず私のほうに何があったか話さないといけない。
感情が入ってしまうと、また胃が痛み出すような気がしたので金曜日から今日までの出来事だけを淡々と話した。
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