今、ここであなたに誓わせて

12才/25才


いつになったら終わるのやら、困惑極める思春期は未だ継続中。だけど、時々衝突しながら気付いたことがあった。妹は言葉が足りないのだと。そして俺は察しが悪いということを。言わずとも分かれよなってことが俺が分からないばっかりに、妹はイライラしてしまうようだ。だったらはっきり言えばいいのにと思うが、そこを言えないのが思春期というものらしい。

そんな思春期に突入して早3年、遅ればせながらも少しずつ多感な女の子というものを理解し始めていた頃またもや事件は起きた。それは小学校6年生に上がった頃、いつものように妹が先に家を出て行くところを、今日はその予定の時間を過ぎても妹がトイレに籠城したまま出てこない。

「おーい、いつまでクソしてんだ。兄ちゃん漏れそうなんだけど」
「血が出て」
「はぁ?痔か?切れ痔か?そりゃいてぇな」
「ち、違う。生理がきて」
「あぁ、そうか、生理か。生理な、それは大変だ」

……。

これで出られない理由が分かった。
本当に大変だ、当事者以上に狼狽えながらトイレにいるりんに声をかける。

「ちょっとここで待ってろ、すぐに買ってきてやるから」

財布を持って近くのコンビニに駆け込み、生理用品を物色する。出勤、登校時間真っ只中の忙しい朝のコンビニ、朝から生理用品を血眼になって漁る成人男子に色んなところから痛い視線を感じるような気もするが、今はそんなものに構ってる余裕はない。

何がいいんだ?とりあえず昼と夜用買ってけばいいか?なんだこの羽付きって。これはどう使うんだ。半分パニック状態になりながらとりあえず手当たり次第買い、急いで家へ戻る。

「りん、前に置いとくから」

静かなトイレに声をかけた。もうそろそろ、俺の出勤時間も迫っている。だけど、今この状況で家を出るのはちょっと気が引けた。

そわそわしながらりんがトイレから出てくるのを待っていると、浴室の方から水音がしてきた。そのまま浴室へ向かったようだった。痕跡を無くすように、朝から洗濯機も回っている。これは遅刻だな、と学校に電話を入れた。

「りん学校には遅れるよう電話しといたから。シャワー出たらちゃんと学校行くんだぞ」

そう浴室にいるりんへ声をかけて家を出た。

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