だから君を失った。
拘置所に入れられ、三日が経つ。


今日も刑事さんが机を挟んで、僕に向き合う。



「ほら、死体で発見された時の彼女の写真だ。この首にある、二つの小さな穴のような丸い形の傷を見てみろ」


だから その傷は、僕の『牙 (キバ)』で・・・


「おまえが、ナイフか何かで刺したんじゃないのか?」


刺したと言われれば刺したとも言えるかもしれないが、正しくは『牙で噛み付いた』んだけどな・・・


「未だに見つからない訳だが、凶器は一体どこに隠したんだ!証拠隠蔽に余程 手が込んでるようだな」


凶器なんて無いよ。なぜなら僕の―…


「何度も言ってるが、司法解剖の結果は、出血死だ」


だから それは、僕が血を『吸った』からで―…


「死亡推定時刻、彼女と君は、二人きりで部屋にいた。ほかに どう説明がつくと言うのだね?!」


バンッ!

刑事さんは机を叩いた。


でも確かに彼女は、僕の行動によって死んだんだから、殺したと言われれば それは間違ってない。


「僕が殺しました」


僕は容疑を認めた。
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