ふりむいてよキャプテン
「小野先輩です」


もったいぶった後に、さほちゃんの可憐な唇から出てきた言葉に、一瞬で凍りつく。


「でもぉ、先輩だから話しかけにくくって。
あみ先輩協力してくれますか?」


小野くんには好きな人がいる。
マネージャーは女として見れないとも、いっていた。

だけど......。


さほちゃんなら。

お姫様マネージャーのさほちゃんなら、いくら小野くんでも揺れるかもしれない。


年下の女の子っていうのはやっぱり男子にとって可愛い存在なのか。二年も心なしか、さほちゃんしずかちゃんへの態度と、私にたいする態度が違う。

そのうえ、さほちゃんはとんでもなく可愛い。
かなうわけない......。


うつむいて黙りこんでいると、不思議そうに先輩?と言われて、あわてて顔をあげる。


「あ......協力ね。
うん、全然いいよ。私も小野くんとはあんましゃべんないけど、できることがあれば協力しちゃう」


そうだよ......、別に協力したっていい。
どっちみち小野くんはもうやめるって決めたんだから。

小野くんがさほちゃんを好きになろうが、二人が付き合おうが、私には関係ないんだから。
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