【完】幸せをくれたあなたに。
「わあーっ! 待って。ごめん」
なにを言い出すかと思えば、謝る藍那に私は頭の中に“ハテナ”を浮かべた。
「ほんとは……っ松井くんに、近づきたいだけ、なの……」
──ズキ……
その瞬間、私は胸あたりに痛みを感じた。
「そ…っか」
なんだ。
松井くんに近づくだけの手伝い?
なにそれ……
「あれ?今日は与沢さんも一緒なんだ」
そんな時、どこに行ってたのか松井くんが教室に入ってきた。
「あ、はい。手伝おうと思って」
松井くんの質問に答える藍那。
「そうなんだ。ありがと」
前髪のせいで、表情の見えにくい松井くんだけれど、小さく微笑んだのがわかった。
藍那もそれに気付いたのか、顔は赤くなっていた。